現代歯科における歯科用樹脂液の8つの用途
—「充填」から「デジタルマニュファクチャリング」までを俯瞰
I. 直接修復:う蝕を「見えなくする」
1. クラス I ~ V のキャビティ充填
樹脂液と酸エッチングおよびボンディング技術を組み合わせることで、1 回の手術でエナメル質の形態と色を修復することができ、前歯部分には目に見える修復がほとんど残りません。
2. 低侵襲性窩洞シーラント
流動性レジン液は、深い歯槽小窩や歯溝に浸透し、硬化後に0.3~0.5mmの厚さの「透明な鎧」を形成し、青少年の虫歯発生率を70%以上低減します。
3. 根面う蝕のある高齢患者
樹脂コーティング技術により、歯根表面に密封層を形成し、虫歯を予防し、知覚過敏を軽減します。
II. 間接修復:「インレイ」の強化
1. セラミックインレー/オンレー接着
まず、液状レジンとフロアブルレジンを「レジンベース」として用い、その後レジンセメントを塗布します。これにより、セラミックと歯の接着力が大幅に向上し、術後の知覚過敏が軽減されます。
2. オールセラミッククラウンとブリッジの接着
ユニバーサルデュアルキュアレジンセメントは、光にさらされない内面でも完全な重合を可能にし、クラウンとブリッジの長期保持を保証します。
III. 審美再建:瞬時に笑顔を美しく
1. ダイレクトレジンベニア
さまざまな色合いの液体樹脂をエナメル質の表面に重ねて塗布し、1 回の施術で歯の形を整え、色を変えることができます。費用は磁器のベニアの 3 分の 1 のみです。
2. 折れた歯の再接着
外傷により折れた歯は酸エッチングして液体樹脂で再接着することができ、元の曲げ強度の 90% 以上を回復できます。
IV. 小児歯科:早期間接保護
1. 樹脂浸透(ICON)
低粘度樹脂は従来のドリリングとミリングに代わるもので、初期のエナメル質の白斑に浸透し、虫歯の進行を止めます。
2. 既製クラウンの接着
流動性樹脂が接着剤として機能し、ステンレススチールクラウン (SSC) を乳歯に固定し、処置時間を 50% 短縮します。
V. 歯科矯正と顎顔面外科: 目に見えない「接着剤」
1. ブラケットの直接接着
この樹脂、プライマー、ペーストの 3 段階のプロセスにより、金属/セラミック ブラケットがエナメル質表面にしっかりと接着され、最大 20 MPa のせん断強度が達成されます。
2. マイクロインプラント周辺シーリング
樹脂がインプラントの頸部を密閉し、歯垢の蓄積と口周囲の炎症の発生を減らします。
VI. デジタル製造:3Dプリント口腔内スキャン
1. デジタル印象トレー
低粘度3Dプリント樹脂LCD 光硬化機と併用することで、わずか 5 分で 25 μm の精度でカスタマイズされたトレイを作成できます。
2. 仮歯や仮橋のチェアサイドプリント
サブミクロンの充填剤を含む高強度樹脂液を使用することで、設計、印刷、研磨、取り付けの全工程が 45 分で完了し、歯 1 本あたりのコストは 10 元未満です。
VII.歯の準備と保護:「スーパーティース」から「スーパールート」へ
レジンコーティング技術は、歯冠修復だけでなく、歯根面にも応用されています。レジン液を歯根面に塗布することで、「酸エッチング+抗菌」の二重バリアを形成し、歯根面の破折やう蝕に対する耐性を大幅に向上させることから、「スーパールート」と呼ばれています。
Ⅷ.特殊な集団と環境
1. 金属アレルギーの患者
樹脂液には金属イオンが含まれていないため、ニッケルやクロムにアレルギーのある方にも最適です。
2. 放射線治療後に口腔乾燥症を呈する患者
フッ素と抗菌作用を持つ二重機能樹脂液は、放射線誘発性虫歯の発生率を減らすことができます。
結論
「充填」から「デジタル製造」へ歯科用レジン液歯科診療のあらゆる場面で、レジン液は欠かせない存在となっています。患者にとって詰め物が目立たなくなるだけでなく、医師はより迅速かつ安全に治療を行うことができます。自己修復や生体活性といった新たな技術が加わることで、レジン液は「歯の修復」を「歯の再生」という新たな時代へと押し進めています。
